金継ぎにできること。わたしなりのSDGs。

陶芸家がうつわを作る過程のなかで、窯で焼く際に、まれにヒビが入ったり穴が開いてしまうことがあります。そういったうつわは、程度が軽くても、「キズモノ」としてお店に並ぶことはありません。使えそうなのに売ることができない「行き場を失ったうつわ」を金継ぎで直すことができたら、と販売に携わっていた頃から考えていました。

2021年、陶芸家の宅間さんからそのようなうつわを託していただけることになり、わたしが金継ぎをして、焼き菓子こびりさんで販売をさせていただくことになりました。その結果、一週間ですべて完売しました。宅間さんのファンの方が購入してくださったのか、サスティナブルな取り組みに賛同していただけたのか、うつわたちの行き場が見つかったことがうれしく、やってみてよかったと実感しました。

「焼き切れ」も「穴あき」も、漆で埋めて直してあります。使っている素材はすべて天然のものです。本漆と純金(銀色のものは錫粉)ですので、安全にお使いいただけます。金属粉を使っているため電子レンジの使用ができず、漆を使っているため食洗器の使用もできません。ご不便をおかけしてしまうことが心苦しいのですが、誰かが誰かを想って作られた気持ちや時間を、受け取っていただくことができたらうれしいです。

金継ぎにできること。わたしなりにこれからも考えていきたいと思っていますので、お力になれそうなことがありましたらどうぞお声かけください。